いつもの、朝の通勤電車の中で・・・、かなり昔の話です。

平日朝の通勤電車は、時間が同じで、見渡せば大体同じ顔触れでしょうか?どこの何方(どなた)さんかは、もちろん分かりませんけど。

その日は、小学校高学年の郊外学習でしょうか?目的地へ向かう途中ですね。生徒さん~男の子、女の子、人数も均等に、ホームに並んで電車の到着を待っています。

生徒さん達は見るからに楽しそうですが、引率の先生だけが気難しそうな表情で声掛けに躍起です。

こんな時でも、同じ車両に乗るしかありません。今日だけは、どの車両に乗っても混雑を避けることはできません。


多分、5年生か6年生でしょう。

サッカー少年のような凛々しい顔をした少し小柄な男の子。その男の子よりはるかに背が高い、見るからにしっかりした女の子。他にも・・・、いろいろなタイプの生徒さんがいて、見ていてその個性に思わず笑ってしまいそうになります。

先生と言えば、定年に近いお年のお爺さん先生(適当な表現がなくてごめんなさい)。

校長先生や教頭先生だといわれてもフムフムと納得してしまいそうな佇まいですが、どちらかというと、ずっと生徒さんと寄りそってきたような不出世タイプ。しっかり女の子を「見上げないといけない」ぐらい目線の高さで生徒さん達の中心にいます。

駅に到着するごとに、乗客がざっと乗り込んできて、生徒さん達の笑い声とも言えそうな悲鳴が聞こえます。何が起こっても楽しそう・・・、うらやましく思います。

一息つくと、おもむろにお爺さん先生が、「この子たちは、●●●●駅で降りますので、しばらくご辛抱ください。ご迷惑をお掛けしております」と。

説明を終え満面の笑みの先生に、恥ずかしさはありません。むしろ生徒さん達の方が恥ずかしそうです。それでいて、車中が何となく「一体化」します。

電車が進むにつれ、生徒さん達も慣れてきたのか話声、笑い声が大きくなります。

お爺さん先生は少し小声で、「みんなのお父さんやお母さんは、こうやって毎日会社に通って、お仕事をして、みんなを育ててくれているんだよ」と・・・。

今しがたまで騒いでいた生徒さんが、ぱったり黙りこんで、そして周囲を見渡しはじめます。

僕は偶然、しっかり女の子と、目があって、そしてニッコリ笑ってもらったよ。

ありがと。普段、褒(ほ)めてもらうことは、ほとんどないけど・・・、その時は、何だか褒めてもらったような気がしたね。

 

 

 

 

 

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